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欠点があるから、人は応援したくなる。漫画における主人公の役割とは

執筆者の写真: Atsushi Nishimura
Atsushi Nishimura
6月13日
読了時間: 5分

最近、鳥山明さんについて改めて調べている中で、日本の漫画における“育つ主人公”の魅力について深く考える機会がありました。


僕自身、子どもの頃から『ドラゴンボール』や『Dr.スランプ アラレちゃん』に親しんできました。子どもの頃はただ「面白い」「かっこいい」「絵が好き」と感じていただけでしたが、大人になり、体験設計やCXデザインの仕事を通じて鳥山明さんの作品を振り返ると、その奥深さに驚かされます。


絵の上手さやキャラクターの魅力、物語の面白さはもちろんですが、それだけではありません。キャラクターの見せ方、読者の視線の誘導、余白の使い方、物語のテンポ、そして世界観の構築に至るまで、非常に高度な“人の心が動く構造”が緻密に設計されているのです。



鳥山明の漫画キャラクターの魅力を示すイラスト
鳥山明の漫画キャラクターの魅力を示すイラスト

鳥山明作品のキャラクターたちの魅力的な表情と動き



日本の漫画における“育つ主人公”の特徴


鳥嶋和彦さんと落合陽一さんの対談で印象的だったのは、日本の漫画とアメリカンコミックスのヒーロー像の違いです。


アメリカのヒーローは、たとえばマーベル作品のキャラクターのように、最初から強く完成された大人として描かれています。圧倒的な能力を持ち、物語の出発点で「すごい存在」として登場することが多いです。


一方で、日本の漫画の主人公は最初から完璧ではありません。むしろ欠点や弱さ、未熟さを抱えています。うまくいかないことも多い。だからこそ、読者は感情移入しやすいのです。


子どもたちは、欠点のない人間はいないことを感覚的に理解しています。だから、最初から何でもできる完璧な主人公よりも、足りないものを抱えながら成長していく主人公の方が、自分に近く感じられるのです。


この欠点があるからこそ、物語は動き出します。


  • 主人公の足りない部分を補う仲間が現れる

  • 弱点を突いてくるライバルが登場する

  • 一人では乗り越えられない壁が生まれ、人との関係が深まる


この構造は、日本的な物語の強さの一つだと感じます。



物語が育つ“ジャズライブ”のような感覚


鳥嶋さんはこのプロセスを「ジャズライブのような感覚」と表現しました。あらかじめ完成された設計図通りに進むのではなく、連載が始まってから読者の反応を見ながら物語やキャラクターの方向性が変わっていくのです。


作家、編集者、読者が一緒になって物語を育てていく。このライブ感こそが、漫画の魅力の一つです。


この考え方は漫画だけにとどまりません。ブランドや地域創生、事業づくりにも通じるものがあります。



地域の魅力を育てる様子を示す風景
地域の魅力を育てる様子を示す風景

地域の課題や魅力を共有しながら育てる地域創生の現場



ブランドや地域創生における“未完成の魅力”


ブランドや地域も、最初から完璧である必要はありません。むしろ完成されすぎていると、人が関わる余白が少なくなります。


人はどこか未完成で成長の余地があるものに共感し、応援したくなるのです。


地域創生の現場では、最初から完璧な観光商品を見せようとすると予定調和になりがちです。しかし、地域が抱える課題やまだ磨かれていない魅力、地元の人たちの試行錯誤を含めて見せることで、そこに物語が生まれます。


ブランドづくりも同様です。完璧なメッセージを一方的に発信するよりも、なぜそのブランドが生まれたのか、どんな葛藤があったのか、どんな未来を目指しているのかを共有した方が共感を得やすいのです。


欠点や未完成さは隠すべき弱さではなく、物語の入口なのかもしれません。



体験設計に活かす“欠点があるから応援したくなる”構造


体験設計の視点で重要なのは、完成された世界を見せることだけではありません。むしろ、人が関わりたくなる余白をつくり、応援したくなる成長のプロセスを見せることが大切です。


  • 仲間やライバルが生まれる関係性を設計する

  • 受け手の反応によって体験が変化するライブ感を持たせる


こうした設計は、STAGEが提供するサービスにも通じています。たとえば、地域の魅力を引き出し、体験価値を高めるためのCXデザインや地域創生のコンサルティングでは、未完成の魅力を活かしながら、地域やブランドの物語を育てていくことを重視しています。



まとめ


鳥山明さんの作品や日本の漫画の主人公たちは、欠点があるからこそ応援したくなる、未完成だからこそ物語が続いていくことを自然に教えてくれています。


完璧なヒーローではなく、成長する主人公。完成された物語ではなく、読者とともに育つ物語。強さではなく、成長に感情移入する構造。


これは、ブランドや地域創生、体験設計においても大切な視点です。


人の心が動く体験は偶然ではなく設計できます。ただし、その設計はすべてを完璧に固めることではありません。余白を残し、関係性をつくり、受け手が参加できる物語にすることが重要です。



STAGEでは、漫画、テーマパーク、日本文化、ブランド体験に潜む「人の心が動く構造」を読み解き、事業や地域の体験価値へと翻訳しています。ブランド、地域創生、CXデザイン、セミナーに関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。



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